1st.issue

 

 

『詩的なるものへ』

 


第1集「詩的なるものへ」に参加するのは7人の現代作家たち。

手紙小説、エッセイ、回文、写真などそれぞれの作家の作品を

毎号1作品ずつ、白い封筒に入れてお届けします。

 ※1号~6号刊行予定


※封筒に封入された作品 写真は4号


【Contents】

回文 | わたしたち、言葉になって帰ってくる -抄- | 福田尚代

 はじまりからもおわりからも読むことのできる回文。福田さんがていねいに紡いできたことばの連なりはまさに言葉の芸術。コトバを詩的に感知している福田さんにこそ創作できる作品がここにあります。

手紙小説 | 遠い場所からの手紙 | BOOKSOUNDS

遠いとおもいがちな場所から近くするべくこのお手紙をお届けします――

不思議な手紙小説の世界へ、どうぞ。

レイヤースコープ | 写真・文 TORUS[1] | 村松 桂  

写真と文を重ねて完成させる実験的作品形態「レイヤースコプ」。号を追うごとに透明のレイヤーをお渡しします。それらを重ねて何通りもの完成形が広がっていく仕組みをお愉しみください。

ポエトリ・エフェメラ | 造形・文 INNOCENT | 川添洋司

木彫作品写真とまっすぐな言葉。川添さんの目に映る「詩的なるもの」を、活版印刷の深みある文字と二つ折りのカードでお届けします。

創作ノート |{ Material Glance }物質のまなざし―薬指の短い薬剤師と角砂糖のハナシ | 大森裕美子  一度捨てられたモノたちが、大森さんの手によって函の中でそっと配置され息を吹き返して、物質が互いにまなざしあい、新たに「現象」する。小さな実と錆びたワッシャーを拾ったことから始まった「Material Glance」の創作ノート。

エッセイ | Philopoesis I 詩的なるもの――二十世紀美術家たちの言葉 | 間奈美子  

さまざまな20世紀アーティストが書き残した「詩的なるもの」をめぐる言葉を集めて綴るエッセイ。「詩とは何か」と問われてきた近現代抒情詩の土壌とは別の場所で、「詩的」とはどういった事象かをじっくりと考察する。

限定特典 「ボトロジア通信」

「びん博士」の「ボトロジア通信」を付録。博士の文章から「びん的世界」に潜む詩的なることを体験していただきます。


【Artist Introduction】

福田 尚代 Naoyo fukuda

 

美術家。1967 年生まれ。主な展覧会に「アーティスト・ファイル 2010」(国立新美術館、 2010 年)、「MOT アニュアル 2014 フラグメント」(東京都現代美術館、2014 年)など。著書に『福田尚代作品集 2001-2013 慈雨百合粒子』(小出由紀子事務所、2014 年)、『ひかり埃のきみ 美術と回文』(平凡社、2016 年)など。

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BOOKSOUNDS

 

「何者からの手紙」の配達人として、あなたへの手紙をそっとお届けしています。

アンパサンド1st.issue では「遠い場所からの手紙」をお届けします。

村松 桂 Katsura Muramatsu

 

作家。写真、コラージュ、テキストを主な手法とし、静謐な物語性を秘めた作品を発表している。
2004年に初の個展を開催以降、個展・グループ展など多数。また、個展に合わせて作品集も発行し、紙上でのみ可能な表現も試みている。
主な個展に「Urvan/Ruvan」(2014年・書肆サイコロ)「FLUCTUS」(2017年・GALERIE KISOU)「Natura naturans」(2019年・つやま自然のふしぎ館)など。

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川添 洋司 Yoji Kawazoe

 

1953年、鹿児島県甑島生まれ。10代後半に全国行脚の後、関西に移り住む。
20歳で木彫に出会い、硬質の木材を使ったリアリズム彫刻を始める。以来、海に流れ着いた生活残滓がある流木を素材にした立体造形や、風化をテーマにした人物彫刻など幅広い作品を展開。全国各地での個展を精力的に開催するとともに、流木、鉄板、砂、土壁などを駆使した舞踏、演劇、音楽の舞台美術にも長年携わる。
2014年、脳出血により、右半身不随、失語症の障害を負うものの、2016年より作家活動を再開。
現在、京都市左京区在住。同居人は妻と猫。

大森裕美子 Yumiko Ohmori


1987年11月11日小さな実と錆びたワッシャーを拾い 硝子板のうえに配置したことが 「material glance」のはじまり。それ以来 出会い収集し保管してきたさまざまな物質や言葉を配置することをまなざしの訓練として続けている。

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間 奈美子 Namiko Hazama

 

言語美術。1994年、自身の詩的テクストと造本を一つとした作品を刊行するインディペンデント・プレス
空中線書局」を開設。刊本、展覧会多数。1999年、主に作家・ギャラリー・文芸出版社より、文学・芸術を中心とした作品集の編集から制作を一貫して請負う「アトリエ空中線」を設立。
長く懸案である詩性論考「Philopiesis』を、当誌に機を得て、「Philopiesis I』として連載開始。


詳細 ⇒ 灯光舎stores

詩的なるものとは

 

詩的なものとは、私たちの中に内在している感受性らしきもの

 

さまざまな「こと・とき・もの」のなかで

ふとわれを忘れて何かを「感受」する経験

そこからしか語れない何かが、この「詩的」というキーワード

 

「詩とは何か」を問うものではなく、

 

近現代詩の詩文にもとらわれない、詩的体験のさまざまなありようにアプローチする

 

未生響の名で多くの詩的テクスト作品を刊行してきた

 

「空中線書局」間奈美子さんとのコラボレーション企画

 

 

編者  間奈美子    

造本・組版  アトリエ空中線、大森裕美子、BOOKSOUNDS 

印刷   創栄図書印刷株式会社   グラフィック    活字組版・印刷 りてん堂