11月3日(火)
昨日でブランチ大津京であった「本の市」が終了。こうやって本屋さんと一緒に出店して軒を連ねるのはおもしろいし、思うこと、考えることがいろいろある。
本屋さんのネットワーク、友達のようにふれあっているのもいいなと思う。
今回はお店に出せる古本がなくて、実家に帰ってずっと棚に並べてあった本を持ってきた。ずっと読まなかったから何の気なしに持ってきた本でも、いざ人の手に渡っていくのを見ると、良かったと思う反面、寂しさがある。
「なんや、大事にしてたんやな」と思った。そこで気が付く。
また機会があったぜひ出たいぜ。
11月5日(木)
朝から、先日知恩寺の古本市で買った『濱口國雄 詩集』を開く。強烈な言葉と重くのしかかる内容の詩が僕に覚悟を問いかけているようで、3頁ぐらいを開いてやめてしまった。
とても楽しみである。これは読書という感じではない、完全に対話やで。
そんなことをやっているから積読タワーが日に日に成長を遂げる。
積読は性格的に本当は合わない。しかし、読むのが遅いんだからじゃーない、出版社にいるくせに。
昼から営業、ゴングのイベント告知。レコード屋さんや楽器店に相談にいって良くしてもらう。ありがたく、心に染み入る。
自社の本の動きはどうかとメールで問い合わせても何の返答もくれない書店も多い中、本当にありがたい。
一喜一憂、これは仕方がないとはいえ、精神的にはわりとつらい。
11月7日(土)
待ちに待った『アンパサンド 2号』の発送作業。
やっとお待ちいただいた方々へ届けられる。そんな日が近い。
『アンパサンドー詩的なるものへ』はいろんな魅力がある。ひとつじゃない。
詩的なるものへは大きなテーマ。それをじっくり考えるのもよい。しかし、それに捉われることは少し違う。もっともっとシンプルなところ、現在活躍している作家さんの作品が身近に感じることができるというところも大きな魅力のひとつ。
そう、そんな単純なこと。シンプルがいいや、シンプルが。
ときどきそんなことを考えている。
いろいろ考えていくうちに複雑になりがちな自分の脳みそに注意をうながす。
複雑にしたがる。複雑なものがちょっと形なったら嬉しいから。ちょっと賢くなったように思うから。
夕方は「ジャズ喫茶ベイシー」の映画へ。菅原さんの語り口が最高に良い。この人もそうだ、大事なことをシンプルな言葉を使ってさらりと言ってのける。
そうや、そうや、シンプルに物事を進めていく。
Count Basie - April in Paris、こんなにもかっこいい曲だなんて。
11月8日(日)
朝は8時前に起床。最近、朝早くに起きられなくなった。どっかで修正せんとあかんよ。早起きは習慣にしていて損はないよね。ことわざ通りですわ。
午前中はおかんと妻の親戚が来てくれて、アンパサンドの封入作業。手伝ってもらっております。
午後は、恵文社、善行堂、ホホホ座と回って『アンパサンド 第2号』を納品。地元の本屋さんで扱ってもらえることはありがたいな。
ほんで、修学院のバッフュッテに行って『アンパサンド 第2号』見本をお渡し。バッフュッテのいくちゃんにコーヒーをお願いし、べちゃべちゃとおしゃべり。楽しい。見本よりもこっちメインできました。
コーヒーを片手に窓の外をボーっと眺めているのが良い季節になりました。特にバッフュッテのあるあたりの環境は落ち着く。車もたくさん行き交う場所で決して静かではないけれど、なんか落ち着く。比叡山が近いからか、実家が近いからか、時間がゆったりと流れる。「休みほしいな~」と僕の独り言が店内にこだまし、いくちゃんに笑ってもらう。
清野さんの作っている棚を眺める。お金もないし今日は買わへんぞと決めていた。赤瀬川源平を我慢、植草甚一を我慢、もう大丈夫というところで尾崎翠「第七官界彷徨」が目に飛び込んできて買い求める。
11月9日(月)
朝から上村さんの原稿に目を通す。何度かざっと読んだりしたけど、どうしても物足らない部分も多く、それを電話で伝える。校正もがっつり必要だろうな。これは時間がかかる。ちょっとした文章構成をやらないといけない。
吉村さんに原稿もいただいているから急がないといけない。
しかし、それに等しく現在の急務としては『アンパサンド』の営業。どうしてもそのことが頭をちらつく。焦っているんだろな。
昼ご飯を食べて、渡しそびれた見本を持ってホホホ座さんへ。そのあと銀行へ入金に行ったりバタバタ。途中で鳥居さんと落ち合って『アンパサンド2号』をお渡し。すでに1号、2号ともに注文が入っているという。
ありがたし。明日か明後日から開風社のHPでバナーが出来る。
明日から東京。ひさしぶりの東京。コロナ以降ずっと敬遠していた場所へ。でもずっと行きたかったところでもある。しばらく日記はお休み。
11月16日(月)
朝から足の親指が痛い。昨日も痛かったな。先日の東京での出張で、書店から
書店へ、そして書店へとけっこう歩いた。それが影響していることは間違いない。
久しぶりの書店営業。いや、書店営業だけで東京に行くなんてことは今までなかったな。前の会社では「それだけ」で東京には行かさないという感じだった。大学の訪問をメインにして、あれもやって、これもやって、ほいで書店へという感じだったな。あー...余計なことを思い出したな。
営業の結果的にも心が痛いと言えばそうなるが、充実したともいえる。
人との新しい出会いがあった。これは、注文を持った時ぐらいに嬉しいものだ。
人との出会いは新しい本の出会いになることもあるし、そうでなくても面白い。世の中にはいろいろな人がいる、それを実感できる瞬間なのだから。
昼前に母から連絡があり、体調がすぐれないとのことですぐに実家へ向かう。別にたいしたことはなかったが、何かあるといけないので予定していた打ち合わせは別日にしてもらった。今日はその人に良い本があったので、お渡ししたかったが次回に持ち越し。現在その人とやっている企画の参考になるはずと思って買った本。しかし、喜んでもらえるというより、「もっと早くに僕の本を出したかった」とちょっと怒られるかもしれない…。
じっくり良い本になれば良いと思うと言う事を繰り返しお伝えするのみ。
11月23日(月)
東京出張から帰ってきた。京都駅に着いて京都タワーを見ると、正直ほっとする。ホッ。やっぱり東京へ出張となるとずっと緊張していたんだな。
出張の成果をどうしても求める。ホテルでも知らず知らず肩に力が入っているんだと思う。
今回の東京行では前職のときにお世話になっていた方とお会いし、久しぶりにお話をした。今思うと、前職時代では一度も二人で呑みに行ったことがない。
不思議だ、やめてから二人で呑みにいくことになるなんて。二人だといろいろなその人素の部分を聞けるから、楽しい。イメージが変わるよね。
叔母が京都駅の近くまで迎えに来てくれた。僕らが出店した22日の東京文学フリマも盛況だったことや多少売り上げがあったことを話す。
出張前に父親が転んで頭を怪我をしたその近況について話す。「しょんぼりしていた」と叔母は笑いながら大声で話していた。僕はそれを多少聞き流しながら窓を眺めていた。
帰宅して、事務処理。お金の計算や請求書の発行などいろいろ。
夜はパスタか。
11月27日(金)
朝はカフェオレを作って武田麟太郎の小説を読む。恋愛もの。調べてみると作品はあまり知られていないみたい。10時に仕事開始。
ずっとお待たせ中の原稿に目を通す。途中、『アンパサンド』をもっと多くの人に届けるにはどうするべきか…なんてことを考えながら昼。
別の原稿に目を通す。僕がずっとやりたかった企画。本心としては早く出すことに重点を置かずにじっくりと慎重にいきたい。著者さんが許して下さるかは別。
夕方に銀行さんへ挨拶に行って、そのままレティシア書房さんへ。
本屋さんはええな。陳列された本も、棚の作り方も、かかっている音楽もすべて個性があって面白い。
決して個性的な物ばかりを好いているわけではなく、画一的なものだって悪くないよ。定番は絶対に無視できない。
先日作った『16日間の日記、29日間の日記』に「レティシア書房」さんの名前が出てくるので、1部献本。
「事後報告か(笑)!」と小西さんに笑われる。立て続けに10冊分の納品書をお渡しすると「なんちゅう商売や――!」とまた笑われる。
そして、10冊がレティシア書房さんに並べられてることになりました。
優しいお方、ありがとうございます。